どうなる日本経済、私たちの生活

白川真澄

深刻なマイナス成長に転落

街角から人が姿を消し、店は閉じられ、工場も学校も休みが続き、人びとが家に閉じこもる。経験したことがない事態が世界でも日本でも起こった。

IMFは、感染が早期に収束する場合でも、今年の世界経済はマイナス3.0%成長に転落すると予測。米国は1~3月の実質成長率が4.8%(年率換算)減少したが、4~6月は何と39.6%のマイナス成長になると予測されている。ユーロ圏は、1~3月が14.4%の減少だった。日本は、1~3月が3.4%の減少、4~6月が民間エコノミストの予測では21.7%の減少となり、今年は間違いなくマイナス成長(IMFの予測では5.2%減)に転落する。リーマン・ショック(08~09年)を超えて、90年前の世界大恐慌以来の経済危機に突入している。

それでも、感染が夏までに収束し経済がⅤ字回復すると期待する人もいる。外出自粛で抑え込まれていたレジャーやショッピングへの欲求が噴き出し、消費が爆発的に増える(「リベンジ消費」)からだ、と。たしかに外出禁止が解除された中国では、観光地に大勢の人が押し寄せている。だが、オーバーツーリズムの復活は、第2波の感染拡大のリスクを一気に高める。多くの人が職を失い店が次々に潰れて所得が低下すれば、消費支出は増えない。第2波の襲来による収入減を恐れて節約する人も多いだろう。輸出もそう簡単に回復しない。消費や生産活動がすぐに元に戻ることなど、とても期待できない。経済の回復は早くても21年末までかかるという予測が多くなり、長期停滞に陥るという見方もある。

にもかかわらず、安倍政権はⅤ字回復を謳い、旅行代金の割引など消費喚起(GoToキャンペーン)のために1.8兆円もの「不要不急」の支出を補正予算に計上した。この期に及んでも経済成長の幻想にすがる政権の醜い姿である。

生活破壊が社会的弱者を襲う

最大の問題は、これから解雇・雇止めと自営業・中小企業の倒産が本格化することである。客足が途絶えた観光・飲食・小売りの分野を中心に勤務時間の削減、解雇・雇止めが広がってきた。解雇・雇止めは1カ月で1万2千人も増え、5月28日現在で1万5823人。

経済危機は、その社会に隠されている脆弱性や格差を白日の下にさらけ出す。例えば保健所を4割以上減らしてきた政策は、迅速なPCR検査を難しくした。大学授業料が自己負担という教育の貧弱さは、バイトの収入を失った学生を退学に追い込もうとしている。そして、非正規雇用は「派遣切り」が横行したリーマン・ショック時よりも400万人増えて労働者全体に占める割合も4.1%高まり4割近くになった。雇用の危機に対する耐久力がそれだけ弱まった。消費蒸発に直撃された観光・飲食・小売りなどは、非正規雇用と自営業者が多い分野である。4月の失業者数は178万人だが、これから100万人増え、失業率も2.6%から4.0%に跳ね上がるという予測もある。すでに休業者は597万人と、1年前より420万人も増加。そのまま失業する惧れのある潜在的な失業者が急増しているのだ。その多くが非正規の人びとになることは、想像に難くない。

テレワークの導入が推奨されているが、その実施率は平均35%にとどまる。正社員のそれが27.9%なのに、非正社員は17.0%という調査報告もある。大企業の本社の正社員はテレワークが可能だが、コールセンターで働く契約や派遣の社員は「三密」で仕事をしている。ネットショッピングの急増に伴って物流センターや宅配の労働者は、仕事が過重になり感染リスクも高くなっている。

最も弱い立場にある非正規労働者、シングルマザー、外国人労働者、自営業者などへの生活支援こそ喫緊の課題だ。全国民への一律10万円の給付が決まったが、もっと多くの公的支援が必要だ。そして、収入が減らなかった人たちが受け取った給付金を使って連帯・助け合いを進めることも望まれる。

(松戸市民ネット『たんぽぽ』№357に掲載した文章を一部修正)