届けよう!「忘れない3.11」の思い

田中一昭

3月5日金曜日、JR南武線 溝ノ口駅 改札口前の南北自由通路で忘れない3.11が開かれた。通路には写真が壁・ガラス一面に張り出され、長さ4メートルの横断幕には気持ちが伝わる強烈な絵と文字、8個のテーブルには10年前にさかのぼった福島原発の資料や写真集、小説やドキュメント・取材の書籍、そして募金箱と「被災地へのメッセージ」のボード。参加したのは、障害者支援に取り組むNPO法人のピアたちばな、喫茶deほっと、療育ねっとわーく川崎、そして「フクシマを忘れない会」。脱原発に取り組む人たちも署名用紙やチラシをもって駆けつけた。

改札口から出てきた人、駅に向かう人、通り過ぎる人に、私たちの写真と絵が目に入る。そして立ち寄って話しかける人、資料をじっと見入る人、募金箱に投じる人、それぞれの思いをあらわす。通路の使用許可条件では大きな声を発するスピーチやコロナ禍での物販は許可されていない。しかしその中でも気持ちと志は伝わる。

「福島出身なのよ、頑張って」「震災から2年経ったときかな、被災地に行ったのよ」「知り合いが、まだ生きてるか死んでるかわからないのよ」と話しかけられる。

この取り組みを始めたのは震災後1年ぐらい経った時、政治・社会・世間から「あれ、忘れ去られるかもしれない」と感じたときであった。忘れちゃいかん、忘れないという思いを表さなければと、溝ノ口駅で集う「場」を作った。そして、東北・福島の障害者作業所をはじめ、身近にあるいくつかのつながりも、この「場」では貴重であった。被災地から取り寄せた新わかめや太麺などの名産物、被災地の障害者作業所で作られたクッキーなどを行き交う人が買い求め、また寄付金を託してくれた。収益と寄付金は被災地の障害者施設に贈った。そして今回で9回目を重ねることができた。

この小さな「場」の取り組みでも、「忘れない」「忘れてはならない」という決意が人々の心の奥にしっかりとあることを実感できる。しかしこの日に立ち寄ったある人が言うように「何も変わっていない、どうなるんだ。」

政治・社会の課題は大きい。