長友くに
みなさん! 飛行機がはじめて空を飛んだのはいつのことかご存知ですか?
1903年です。今から120年ほど前のこと。その人類の夢の実現は、たちまち武器へとつき落とされてしまいました。初飛行から10年もすると爆撃機として使われ始めたのです。折からの第1次世界大戦。ドイツ軍はロンドンを爆撃しました。そして1937年4月、ナチス・ドイツのゲルニカ爆撃。無防備の町に大編隊で空爆を加えたのです。1937年の12月には日本軍の南京虐殺事件があり、翌年からは重慶爆撃が行われました。飛行機が発明されてからほんのわずかの間に、この夢の乗り物は一般市民を無差別に殺傷する狂気の武器として使われはじめたのです。
そして米軍の戦闘機は日本の紙と木でできた住宅の上に襲いかかり、ついに広島・長崎に核爆弾を投下するという、まさに人間性の破壊としか言いようのない事態を引き起こしたのでした。そのあまりの破壊と殺傷のすさまじさに、以後戦争で使われることはありませんでしたが、核兵器を持った国々は、実験を繰返し、相手をおどす抑止力として保持しつづけたのです。
第2次世界大戦の後は70年以上にわたって、核保有国に対して核兵器廃絶の働きかけが行われてきましたが、とうとう大きな変化がやってきました。コスタリカとマレーシアの共同提案による核兵器禁止条約が2017年7月国連で採択され、2020年10月に批准国が50に達し、2021年1月22日に発効することとなったのです。地球一粒で生きる人類が、絶滅の危機から脱出するための叡智の集結といえましょう。今後は核兵器の製造も、保有も、ましてや使うことも、犯罪となるのです。
でも残念なことに、唯一の被爆国日本は核兵器禁止条約制定のための会議に参加せず、批准もしていません。アメリカの核の傘のもとにあるという思い込みから、悲惨な被爆体験を将来の核なき平和に繋げていくことができないでいるのです。
私たち国民は、政府の思惑がどうであろうと、核兵器禁止条約の批准に向けて全力を尽くしていくべきではないでしょうか。全人類を何度も殺傷できる量を蓄積してしまった核兵器。この暴発を許してしまったら、地球自体の破壊につながりかねません。今ほど国連の、そして日本国民の力が試されているときはないのではないかと思います。