西村光子
ストップ・リニア訴訟 第24回口頭弁論 南アルプスの水がめに穴をあけるな
私は、ストップ・リニア訴訟の原告です。リニア新幹線の安全性への疑問、残土の発生、南アルプスのトンネル掘削を始めとする自然破壊、生活環境破壊(騒音、振動、電磁波、大気汚染、日照、景観など)を理由に、2016年5月、東京地裁に738名の原告が、リニア新幹線の工事認可の取り消しを求めて行政訴訟を起こしました。2022年10月17日に24回口頭弁論がありましたので、その様子を報告します。
証人のひとり、松島信幸さん(地質学者)は、「きれいなお花畑が多い南アルプスは岩石や岩壁で山体が保持されている北アルプスと異なり、岩石内部に存在する超高圧の山体地下水で山体が保持されている。そこへトンネルを掘れば、高圧のため山体水の流出が永久に止まらない。地下水が山を支えているのです。トンネルを掘れば、やがて山体は崩壊する」と証言しました。「トンネルを掘るなど、ぜったいやってはいけないのです」92歳の松島さんのしわがれた声に、法廷は、し~んと静まりかえりました。
それに対してJR東海の弁護団がした質問は、「あなたの経歴をお尋ねします。地質学が専門で、トンネル工学をやったことはございませんね」ということだけでした。
人権無視、憲法違反! 危ない!!大深度法
その後の報告会では、東京外環道訴訟の原告からの報告がありました。
今年の2月、「差し止めを認める」と東京地裁が認めたと大々的にマスコミに取り上げられた判決が出た丸山重威さんは、「事業者や国は【事業の再検討】をするどころか、何の説明もないまま、停止を命じられなかった部分の工事や手続きを平然と進めている」と怒りの報告でした。
また、2021年7月19日に「家の下に勝手にトンネルを掘らないで」と田園調布と東玉川を中心とする沿線住民24名が起こしたリニア工事差し止め訴訟からは、三木一彦さんがリニアのトンネル工事の現況を報告しました。
昨年10月に北品川非常口から始まったリニアの大深度地下シールドトンネル調査掘削工事は、3月末までに300メートル掘る予定が50メートル進んだだけで停止。理由はなかなか明確にしなかったが8月になって、「掘削機が故障した原因は作業ミスで、掘削土に混ぜる添加剤の量が不足し、土が掘削機前面に付着したため」と公表した。シールドマシンは後ろには動かないため、故障すればシールドマシンの前に穴を掘って地下におり修理するしかない。今回はJR東海の土地なので問題ないが、地上が住宅地であるなら、シールドマシンを修理する穴を掘るために、家の立ち退きを求めるのでしょうか。掘削機の故障は愛知県春日井市でも起こっています。
東京外環道、田園調布のリニア差し止め、そしてストップ・リニア訴訟の3つの裁判の共通項は「大深度法」です。大都市の地下40メートル以深なら、地上の住民の同意も十分な周知がなくとも無補償で利用できるという憲法違反の法律です。
みなさんも他人ごとではありません。ぜひ関心をお寄せください。
東京地裁前での集会