人類とウイルスの関係性

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吉岡正子

今回の新型ウイルスについてこれまでに分かってきたことは、若者や通常の免疫力をもっている人にとってはそれほど脅威ではないということ。ほとんど一般的な風邪かそれ以下の症状ですむ。しかし免疫力の衰えてくる高齢者や、免疫力が衰える疾患を持っている人々に対しては脅威になる。それをまとめて誤解を恐れずに言うなら、種としての人類にとってはそれほどの脅威ではないということになると思う。

しかし専門家たちは、ワクチンも治療薬もそれほど簡単ではない、それどころか感染症の根絶は不可能で、ウイルスとは共存していかなければならないと言う。そうすると私たちのとるべき道は、集団免疫率を高めながらリスクの高い人たちを守っていくとにつきるということになるだろう。

共存していかなければならないウイルスはどんな相手なのかと案じていたら、ちょうど週刊文春に生物学者の福岡伸一と阿川佐和子との対談が載っていた(2020.6.25号)。それによると「ウイルスを消滅させることはできないし、するべきでもない」理由、あるいは背景はこんなところだ。

  • まずウイルスは生き物ではない。生き物とは細胞を基本構造として自己複製ができるものだが、ウイルスは宿主の細胞を使ってコピーを作り増殖する。コピーは宿主の細胞から出てほかの宿主の細胞に入り、そこでその細胞を使って増殖する。その繰り返しで、ウイルスは情報の伝達者となる。
  • ところで、生物が持続して生存するにはどのような環境に置かれても適応できることが重要である。そのためには多様性に富んでいるほうが有利である。生物ははじめ無性生殖であったが、多様性を高めるために有性生殖に移行した。一方でウイルスは数十億年前から生物とともに進化してきた。私たち人類のDNAにも大量にウイルスの遺伝情報が組み込まれていて、一部は生命活動を支えている。つまりウイルスによる情報伝達が人類の多様性を高める手助けをしている。ゆえに消滅させることはできないし、するべきでもない。

これを見て私はウイルスと人類の関係が理解でき、道は共存しかないというウイルスに対する覚悟ができたように思う。

その対談から得た新知識をもうひとつ紹介する。専門家が「一定の効果があった」という表現をした場合は「ほんのちょっとしか効果がなかった」という意味なのだそうだ。もっと効果があったら「卓効があった」とか「劇的に改善された」と表現されるということなので、今回のコロナウイルスについてのワクチンや治療薬もそんなに簡単ではないことがわかる。